会社の正しい終わらせ方

夫の倒産に遭遇した中小企業診断士、筒井恵氏の書籍。

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ポイントとなる部分のみを取り上げてゆきます。ぜひ、本書もお読みください。

第1章 ある会社の創業から倒産まで

・実父が創業した会社を婿である夫が継ぐ。しかし、すでに経営難の状態。

・企業再建のプロでもある著者。しかし、夫に気遣い経営に口を出せない。

・代りに雇ったコンサルは「とにかく営業、資金は身内が補填」というずさんさ。戦略なし。

・税理士は「つぶしたほうがいい」。しかし、この意見は取り入れられない。

・身内である著者が、自分のコンサル会社から資金を補填。自分の会社まで危うくする。

・ついに行き詰まり、倒産を覚悟。会社も夫も破産するが、家族の絆で乗り切る。

第2章 中小企業の現状と今後の発展について

・経営者が自社の状況と向き合わない限り、企業再生はできない。

・経営者が「数字に弱い」では、通用しない時代になった。

・「何としても利益を出してゆく」。利益を維持し内部留保し、投資できるか。

・中小企業を支援する制度として、「中小企業再生支援協議会」が各県ごとに存在する。

・会社が破綻しても、経営者の生活を保障し、再起できる状況を「リバイバル」と呼ぶ。

第3章 再生とリバイバル

・個人資産まですべて投入してしまうと、破産手続きの費用(予納金)がなくなる。

・破綻するが、経営者と家族の生活を確保できる場合を「管理的破綻」と呼ぶ。

・破産手続きをせず、夜逃げした場合を「生活崩壊的破綻」と呼ぶ。

・管理的破綻をポジティブに進めてゆく。これが「再生支援」の新しい視点。

・現在でも年間4~5万件と言われる「夜逃げ」。

・「夜逃げ」では住民票、保険証、携帯も持てない。日雇いで何とか食つなぐしかなくなる。

・中小企業の民事再生は難しい。大抵の場合は破産になる。

(第4章は、事例なので省略)

第5章 リバイバルに向けて

・本来あるべき会社の姿は「利益を出し、社員を健全に養える」継続とそのための革新。

・「変えない、変わらない、現状を受け入れない、見ようとしない、逃げる」は、罪。

・「まだなんとかなる」という思いを捨てる。(著者自身が、この呪縛に囚われた)

・事業を継続しても、銀行に対する返済原資が出ないなら、再チャレンジに向かうべき。

・経営者自身が、「会社を変えたい」と心底思わなければ、変わらない。

・会社を閉じることも戦略と捉え、半年前から準備すべき。(なかなかできないが)


本書の感想

「経営者は倒産を恐れよ。しかし、倒産寸前なら倒産を恐れるな」

37年間にわたり、野口会長が訴えてきた内容と変わらぬ現実が、いまだに続いている。

倒産を心から恐れるものは、危機感が芽生え、経営に対する甘さが抜ける。

半面で「もう倒産しかない」なら、「一日も早く倒産せよ」が正しい判断となる。

お金のない経営者にとって、破綻のための予納金の重さも変わらない。

1つの判断材料として、「銀行から借りられなくなった時」を基準すべき。